>>home>topics

28 キーカバーキットの作り方

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

キーカバーが自分で作れるキットです。

(完成品をお求めの方はこちらからどうぞ)

当店で販売中の「手縫いキーカバーキット」の作り方です。ステッチパターンは、キットの中に入っています

このキットは、すでに革は裁断済みです。また一部を除き貼り合せ作業も終わっています。後は菱ギリを使って穴をあけ、針と糸で縫うだけで完成します。革の手縫いが始めての方に特におすすめしたいキットです。
このキットで、直線縫い、曲線縫いの両方を楽しめます。また基本的な針運びも楽しんでいただけると思います。
何だか難しそうに感じていた革小物の製作が、ぐっと身近に感じていただけることと思います。


【必要なツールなど】
・手縫い針  ・手縫い用麻糸  ・手縫い用ロウ  ・菱ギリ(今回の主役です)  ・ゴム板


【あると便利なもの】
・ヘラ付きへりみがき  ・パワーボンド  ・セロテープや両面接着テープ  ・トコノール(お試し用が最適)


(1)革を手縫いする場合、まずは針を通すための針穴をあけることから始まります。
綺麗に作るためには、丁寧な針運びよりも、むしろ正確な針穴を開けることの方が重要だと思います。
特に小さな作品では、4本菱目打ちやステッチルレットを使っての正確な穴あけは難しいものです。
また曲線は直線よりもカーブの角度にあわせてステッチのピッチを調整する必要があるのでより難しくなります。
しかし、言い換えれば正確な針穴さえきちんと開けることが出来れば、誰にでも簡単に革の手縫いを楽しむことが出来ると思います。
それを実現するために考えたのが「ステッチパターン」です。

(2)このキットは、4本菱目打ちは使わず、菱ギリ1本で製作していきます。ステッチパターンには針穴の位置が詳細に記されています。菱ギリを使って革の上に置いたステッチパターンの上からなぞるように穴を開けていけば、正確な位置に針穴を誰にでも簡単に開けることが出来ます。

それでは、まずは完成品をご覧頂き、全体のイメージをつかんでください。(右の写真参照)

始めに曲線を、次に直線をそれぞれ矢印の方向に縫っていくことにします。

太目の糸を使うよりも、細めの方が糸の通りがいいので、初めは中細の麻糸がおすすめです。

今回は中細の生成りを使いました。

ステッチパターンを切り離すときは、ハサミよりカッターの方が綺麗に切れると思います。

(3)このキットは、紐(ひも)部分は初めからボンド付けされていますが、工場での製作工程の関係から、鍵を差し込む部分は貼り合わされていません。
この部分もボンド付けすれば、幾分、縫製作業がスムーズに行えます。ただどうしても必要な作業ではありませんので、面倒な方はとばしてください。
*パワーボンドは先が細く使いやすいのでおすすめです。

赤い部分にボンドをつけてください。(面倒なら省略可)

(4)次に、切り取ったステッチパターンを革の上に乗せて固定します。
両面テープを使った方が正確に固定できますが、粘着力の強い両面テープを使うとパターンをはがすときに革の表面を傷めてしまう可能性があるので注意が必要です。
両面テープを使うときは粘着力をわざと落とすために、ステッチパターン側に先に貼り付け、両面テープの薄い紙をはがして、数回、生地やカーペットに「貼り付け、剥がす」を繰り返して粘着力を落とすといいと思います。
この時、思い切って粘着力を落とす方がいいです。わずかな粘着力で固定できますので・・・・。

ここでは普通のセロテープを使うことにします。3箇所くらい留めればいいと思います。私は赤い矢印で示した3箇所にテープを貼りました。

(5)テープ止めしたら、ゴム板の上にのせ、菱ギリを使って穴をあけていきます。
*カッティングマットだと、固くて菱ギリが奥まで入らず、穴があけにくいので、ゴム板がおすすめです。
菱ギリには向きがあるので、向きを意識しながらステッチパターンに沿って穴をあけていきます。
初めてで菱ギリの向きが分かりにくいという方は、いらない紙に試しに穴を開けて練習してください。
あまり力を入れすぎるとステッチパターンがずれる原因になるので力みすぎには注意してください。十分貫通していなくても、パターンをはがした後でもう一度菱ギリを使って穴を貫通させればいいので、この段階では軽く開ければOKです。

全ての箇所に穴を開けることが出来たら、革の表面を傷めないように、注意しながらステッチパターンを取り外します。
ここで再度、穴をあけると後の工程で針の通りがいいのでおすすめです。




(6)次に針と糸を用意します。
糸の長さは縫う距離の3〜4倍くらいを用意すればいいと思います。
ケチって短めの糸でスタートすると、途中で足りなくならないかとひやひやするので
長めに用意しておくことがポイントです。
曲線部分と直線部分は別々に縫っていきます。
今回は余裕をみてそれぞれ60cmほどを用意してください。

中細糸を使うときはそれほど気にならないのですが、太糸を使う時は、針に糸を通したあたりがどうしても太くなり、菱ギリであけた穴を通りにくくなります。
そのような場合は次のように一工夫します。

(7)糸の両端8cmくらいを幾分漉いて、強制的に糸を細らせます。

ゴム板やカッティングマットの上に糸を置き、菱ギリを使って漉(す)きます。
糸先に向かって菱ギリを何度か動かせば糸を漉くことが出来ます。

糸の両端を漉いてください。
そしてロウを引きます。先ほど漉いた両端部分にもしっかりとロウを引いてください。そして「ヨリ」を加えておいてください。

さて、針に糸を通していきます。本格的に革を手縫いするときは、2本の針を使って縫っていきますので、糸の両端にそれぞれ針を取り付けてください。
糸の付け方はtopics 14の7〜15を参考にしてください。

(8)まずは曲線部分から縫っていきます。
キーカバーは小さくて持ちにくいですが、革の表面(刻印がある方)が右に来るようにして置きます。

奥から手前に向かって縫っていくことにします。
一番目の穴に針を通します。そして2本の針を持ち左右の糸の長さが同じになるようにします。

(9)左側(裏面)にある針を2番目の穴に通します。この時、一気に抜かずに少し糸を残したくらいまでで抜くのをとめておきます。

次が大切です。菱ギリであけた穴は斜めに穴が開いていると思います。穴は小さいですが、針と糸の太さからすれば十分に広い穴であり、どの部分を通させるかが重要になってきます。

(10)左側から通してきた針は斜めの穴のうち、手前下に向かうイメージで引いてください。
そして右側の針は斜めの穴の奥の上の方を通すイメージで左側に抜いていきます。
この時、穴の中で先に引いた糸と交差しますが、先に引いた糸の上を通るように注意しながら左側に抜いていきます。決して先に通した糸の中に糸が通らないように注意してください。このルールさえ押さえれば、縫い目はきれいにそろってくれます。

(11)この関係(糸の上下の関係)を最後まで守ることで綺麗な縫い目がそろいます。
では、針と糸を持ち左右に引きます。

適度な力で引くことで縫い目が締まってきます。
あまり力を入れすぎると革がつってきますので要注意です。
この力加減はすぐにマスターできると思います。
同じことを繰り返します。
左側にある針を、手前下に引くイメージで右側に通していきます。
次に右側から左側に通していくわけですが、先に通した糸の上を通るようにしていきます。
これを繰り返します。

(12)最後の穴まで出来ました。

最後の穴まで来ましたら、縫い目1つ分、返し縫をします。

裏側に出ている糸を軽く引っ張りながら、はさみで根元から切ります。

(13)そして、表側に出ている針を、もう一つ縫い目を戻るようにして(端から3つめの穴)裏側に出してやり、同じように切ります。

糸を切ったところに、ボンドを少しつけておけばより強固に留めることが出来ます。

曲線部分はこれで完成です。

(14)次に直線部分も縫っていきます。
紐の先端側からでも、付け根側からでも、どちらから縫っても大差ないと思いますが、ここでは付け根側から先端部分に向かって縫っていくことにします。

直線部分も縫い方は先ほどと全く同じです。

穴の中での糸の交差のルールだけを気をつけながら進めていきます。

最後の始末も先ほどと同じでOKです。

(15)はい、これで完成!

初めのうちは、縫い目が綺麗に揃わないかも知れません。しかし、鍵を取り付け、実際に使い出すと多少の狂いは、全く気にならなくなるから不思議です。これが手縫いの味といえるのかも知れません。。。

トコノールを使ってコバを磨けばより美しい仕上がりになります。詳しくはこちらから。